お墓の起源を探ると、初期の頃(原始時代)には人々の生活圏内である住居付近や貝塚の近くに設けられたようです。その後、氏族などの固定的な墓地が出現するようになり、以後、貴族や豪族が古墳を建設するようになりました。
江戸時代に入り、徳川幕府が全国の寺院組織を使ってすべての国民が寺院に属すという寺請制度を敷き、現在の戸籍制度のような宗旨人別帳を作成したため民衆のお墓は寺院境内地に建立されるようになり、結果として今日一般の墓地の大部分が寺院内にあることとなったのです。


日本国内におけるお墓を規制する法律は「墓地埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号)及び「墓地、埋葬等に関する法律施行規則(昭和23年7月13日厚生省令第24号)」とによって運用されています。

墓地埋葬等に関する法律
第1条 法律の目的
この法律は、墓地、納骨堂又は火葬場の管理及び埋葬等が、国民の宗教的感情に適合し、且つ公衆衛生その他公共の福祉の見地から、支障なく行われることを目的とする。
第2条の5
この法律で「墓地」とは、墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事の許可をうけた区域をいう。
第2条の6
この法律で「納骨堂」とは、他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設をいう。


昨今、核家族化の進展や国民の生活水準の向上に加え、墓地に関する考え方の多様化などによって、さまざまな問題が浮上してきております。
都市部においては、人口増加に伴う都市化や地価の高騰によって新規の墓地造成は極めて困難な状況にあります。その一方地方都市では、無縁墳墓の増加や墓地の荒廃が叫ばれております。


墓地に関する考え方の多様化に伴って、海洋への散骨や樹木葬なる新たな葬送形態が生まれてきております。こうした要望は今後も増加すると見られており、墓地管理者としも多様な葬送に応需できる体制が求められているところであります。


墓地を取り巻くこうした状況を踏まえ、「これからの墓地等の在り方を考える懇談会報告書」が平成10年に旧厚生省によって取りまとめられた。その中で昨今話題の散骨についても触れており、今後何らかの基準で散骨が規制されれば逆にある一定の条件で行政が許可することとなり、散骨が国民の間でもっと一般化することも考えられるでしょう。